行政書士試験 商法・会社法対策 最低限おさえるところ 第6回

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行政書士試験 商法・会社法対策 最低限おさえるところ 第6回

株主総会と取締役会しっかりと区別しないと、総会と役会どちらも、いろいろなことを決める機関ということは分かるけど。

違いを明確にしていかないと!

 

違いが判ることは大事だぞ!

しらんけど

 

こんにちは、行政書士受験情報館の館長の行政書士の須佐美です。

今回は、いよいよ会社の機関についての解説に入っていこうと思います。

会社の機関は、行政書士試験もでよく狙われるところなのでしっかりと押さえていきましょう!

第6回で扱うのは、機関設計と株主総会についての2つの点を取り上げていきたいと思います。

それでは、早速始めていきましょう。

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株式会社の機関設計について

株式会社の機関設計については、公開会社と公開会社でない会社による区別がまずあます。

公開会社でない会社のなかで、取締役会設置会社と取締役会を設置していない取締役会非設置会社の区別があります。

公開会社では、取締役会を設置しなければならないです。

公開会社でない会社は、一般に中小の株式会社を想定制度設計されています。

中小の株式会社の場合は、資本金も少なくそれに伴い、株主も少数の場合が多いです。

会社の規模が小さいとそれに伴って、取引先も一般的に少ないものとなっています。

取引先が少ないということは、それだけ利害関係人が少ないということになります。

そこで、公開会社でない会社は、取締役会を置かないこともできるということ制度設計がされています。

ここで、確認ですが、公開会社でない会社とはどの様な会社のことを言うのでしょうか?

公開会社とは、発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡制限のついていない会社のことを言います(会社法2条5号)。

公開会社でない会社は、株式に譲渡制限のついている会社ということになります。

さらに、公開会社でない会社のことを非公開会社とも言います

世の中に存在する株式会社はほとんどが非公開会社ということになります。

非公開会社は、取締役を株主から選ぶこととする定款の規定を設けることができる

一方で、公開会社は、所有と経営の分離で取締役を株主に限ることはできません

株主総会と取締役会はその権限の振り分けが法定されているので、株主総会の決議事項は会社法と定款に規定されていることに限定されます。

行政書士試験では、まずは、公開会社か公開会社でないか、取締役会設置会社か取締役会非設置会社かを区別することが重要になります。

ちなみに、株式に譲渡制限か付いていること取締役会設置会社であることは登記事項となっています。

したがって、株式会社の登記簿(履歴事項全部証明書)をとれば判別できるようになっています。

公開会社と非公開会社、取締役会設置会社と取締役会非設置会社はしっかりと区別してください。

 

株主総会について

株主総会の勉強をするうえで大切な条文は会社法295条です。

株主総会は、会社法に規定する事項と株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議することができます(同条1項)。

これは、取締役会非設置会社の場合です。

取締役会設置会社の場合は、株主総会は法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができることになります(同条2項)。

株主総会の招集

株主総会は下記のように進んでいきます。

それぞれ、重要な点があるのできちんと押さえてください。

株主総会は招集決定⇒招集通知発送⇒株主総会の開催⇒決議⇒招集・議決方法の法令、定款違反や議決内容の法令・定款違反についての救済について

まずは、株主総会の種類について見ていきましょう。

株主総会は、定時株主総会と臨時株主総会の二つがあります(会社法296条)。

定時株主総会は、決算期終了後に開催されるものです。

法律的に表現すると、毎事業年度終了ご一定の期間に招集されるものです。

上場企業の場合はだいたい事業年度が4月から始まり、3月31日で終了します。

そのため、株主総会は6月に集中していますね。

株主総会の時期になるとよくニュースなどでも取り上げられていると思います。

臨時株主総会は、定時株主総会のように定期に開催されるものではなく、必要に応じて開催されるものを言います。

株主総会は取締役が招集することになります。

 

取締役が招集しない場合はどうなるのか?

取締役が招集しない場合ってそもそもあるのか?

取締役が招集しない場合として、取締役が会社の利益をないがしろにして、取締役自身の利益になるように会社を経営していた場合などが想定されています。

このような場合に、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き持っている株主は、株主総会の目的と招集理由を示して、株主総会の招集を取締役に請求することができます(会社法297条1項)。

ちなみに、非公開会社の場合は、保有期間の要件は無くなります

この請求後に取締役が遅滞なく招集の手続きをしない場合や招集しても株主総会の開催日が請求があった日から8週間以内の日でない場合は裁判所の許可を得て請求して株主は株主総会を招集することができます(会社法297条4項)。

ともあれ、取締役は、株主総会の開催日時と場所、目的である事項等をきめて招集の決定と招集通知を各株主に対して2週間前までに通知するします(会社法298条、299条)。

株主全員の同意があれば、招集手続きを省略できる。
㊟書面投票や電子投票制度がある場合は全員同意による省略はできません。

株主総会の議決

株主総会の決議として、普通決議、特別決議、特殊決議があります。

司法書士試験の場合は、特殊決議までしっかりと押さえる必要があるのですが、行政書士試験では、普通決議と特別決議の違いを押さえておけばいいと思います。

普通決議は、議決権の過半数を有する株主が出席して、出席した株主の議決権の過半数で決議されるものです(会社法309条1項)。

特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数をもってする決議を言います(会社法309条2項)。

ポイントは、出席している議決権が過半数であること、そのうちの半分の賛成か3分の2の賛成かの違いです。

特別決議のほうが厳しいものとなっています。

一般的な決議でいい場合は、普通決議で決議されます。

特別決議が必要になるのは、定款変更や会社の解散、監査役の解任、資本金の減少等の株主にとって不都合が大きいものです。

株主全員の同意があれば、株主総会の決議があったものとみなすという規定もあります(会社法319条)。

株主総会の議決権

株主総会は1株につき1個の議決権が付与されています(会社法308条)。

そのため、保有株式数が多いほど会社に対する影響力が多くなることになります。

議決権がない株式について

議決権がない株式について押さえておいて欲しいのは、①自己株式、②相互保有株式、③基準日後に発行された株式です。

もちろん、この他にも議決権がない株式は存在しますが、それらは読めばわかるものなので、特に注意するものだけをピックアップしました。

議決権の行使方法について

議決権の行使は、代理人によってその議決権を行使することができます(会社法310条)。

先ほど、6月に株主総会が多いといいましたが、同じ日に数十社の株主総会が行われることもあります。

そのため、議決権を代理行使できないと出席株主数が足りなくなるといった事態も生じかねません。

代理人によって議決権を行使する場合においては、当該株主又は代理人は代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければなりません

また、代理権の授与は、株主総会ごとにしなければなりません。

このことから、5年間の株主総会の代理権授与といったものはできません。

では、代理人の人数は何人でもいいのでしょうか?

もし何人でもいいのであれば、1株で1議決権なのに多数人の代理人を選任することができてしまい、株主総会の議事進行において不都合が生じます。

そこで、会社法では、株式会社は、株主総会に出席できる代理人の数を制限することができるとしています。

もう一つ確認しておきたい点として、議決権の不統一行使ができるのかという点です。

株主は有する議決権を統一しないで行使することができます(会社法313条1項)

他方で、株式会社は議決権を不統一行使する株主が他人のために株式を保有するものでないときは、不統一行使を拒むことができます(同条3項)。

これはどのような場合を想定しているのでしょうか?

株式の信託が行われている場合を想定しています。

一見一人で株式を保有しているのですが、実際は多数人で所有しているというものですね。

実際の所有者の意見を聞いて、各株主の意見を反映して投票するということになります。

株主総会の決議に問題があったとき

株主総会の決議問題があったときとは、法律的な言葉に直すと次のようになります。

株主総会の決議に瑕疵があった場合はどのような規定がされているのか?

この場合は、無効なのか取消なのかの区別が重要になってきます。

無効か取消かについては、『法令違反』か『定款違反』かの基準と違反の内容は『決議内容』か『招集手続・決議方法』かに分類して覚えていくことになります。

結論から言うと、『決議内容』の『法令違反』のみ無効となります。

さんざん、分類しておいてそれかいって感じですが、無効は決議内容の法令違反です。

ちなみに、行政書士試験では、決議内容が法令違反の場合に株主総会の決議取消の訴えを提起するという感じで出題されます。

これは間違いとなるので注意してください。

なんで??と思いますよね。

これは、株主総会の無効確認の訴え(会社法830条2項)と株主総会の決議取消の訴え(会社法831条)が別のものだからです。

無効のものは無効確認の訴えで、取消のものは決議取消の訴えで訴えないといけないのです。

知っていれば、簡単なのですが、訴えが別々に規定されていることを知らないと間違えてしまうので注意してください。

まとめ

今回の記事のまとめとしては以下の点を抑えているかを確認することです。

公開会社と非公開会社の区別をしっかりとすること。

公開会社は取締役会が必ずある。

非公開会社には取締役会設置会社と取締役会非設置会社の2種類があるので必ずチェック。

株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会がある。

株主総会は、取締役が招集する。

株主総会の決議方法は、普通決議と特別決議、特殊決議がある。

議決権がない株式で注意するものは、自己株式、相互保有株式、基準日後に発行された株式の3つ。

株主総会には代理人を出席させることができる。

議決権は、不統一行使をすることができる。

株主総会の決議の瑕疵は、無効なのは決議内容の法令違反の場合のみ。

訴えは、無効確認の訴えと取消の訴えの違いにを見落とさないこと。

少し長くなりましたが、今回はこのへんで終わります。

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