行政書士試験 商法・会社法対策 最低限おさえるところ 第2回
商法・会社法対策の第1回を読んで、株式会社は多くの人から少しずつ資金を集めて大きな事業をやることを前提にしていることは掴んだよ!!
次は何を抑えればいいのかな?
お!やる気があっていいね。
これなら受かるかもな
しらんけど
こんにちは、ヒグマ館長です。
今回は、商法・会社法対策の第2回目として、株式会社の設立の部分について確認していきたいと思います。
株式会社の設立の部分は、行政書士試験では発起人について問われることが多いので、このへんを押さえておきたいですね。
今回は、発起設立を中心に見ていきたいと思います。
それでははじめましょう。
株式会社の設立の種類
株式会社の設立は、二つの方法があります。
発起設立と募集設立です。
発起設立は、発起人が出資して株式会社を設立する方法です。
募集設立は、発起人の出資と広く出資を募って会社を設立する方法です。
中小企業の場合は、ほとんどが発起設立になります。
というのも、募集設立は非常に難しいからです。
募集設立をするには、会社を設立する時点ですでに信用がないと株主を募集するといってもほとんど応募が無く株式会社を設立する段階まで進まないといったおそれが多分にあります。
発起設立の場合は、発起人が一人で出資すれば会社自体はできるので、発起人に資力があればいいのです。
もっとも、株式会社の資本金の規制はないので、資本金は1円でも会社設立は可能です。
可能というだけで、銀行の融資を受けることなどを考えると実際には資本金100万円程度、最低限に必要となります。
融資の場合は他にもいろいろと規定があるので必ず資本金100万円必要というわけではないとの反論もあるかとは思いますが、一般論としては資本金100万円はあったほうが無難です。
というわけで、会社の設立方法は、発起設立と募集設立の2つの方法があります。
株式会社の設立の大まかな流れ
では、株式会社を設立したいと相談された場合何をまず決めておかなければならないのでしょうか?
株式会社は、①定款を作成と認証、②資本金の出資、③設立手続きの流れとなります。
定款作成時の注意点
定款の作成をする場合には、どんなことを定款に書いていないといけないのかを知っている必要があります。
その前に、定款とは何でしょうか?
簡単に言うと定款とは、会社の基本ルールを定めたものです。
なぜルールが必要なのかというと、株式会社は、多くの人から資金を集めて、大きな事業をするというものでしたね、この時に何もルールを決めていないと出資者は困ってしまいます。
ということで、定款の絶対的記載事項というものがあります(会社法27条1号~5号)。
これが、①目的、②商号、③本店所在地、④設立時に出資される財産の価額又はその最低額、⑤発起人の氏名・名称および住所です。
まずは、絶対的記載事項は5つと覚えてください。
株式会社がどんな事業をするのかが最も大事なので、①目的が定められていないといけません。
何をするかわからないけど、株式会社を作りたいので、目的は後から決めるから定款作成するということはできません。
次に決めるのは、名前と住所ですね、株式会社では②商号と③本店所在地といいます。
ちなみに、本店所在地は市区町村まで決める必要があります。
たとえば、本店を東京都○○区に置くなどです。
逆にこれよりも詳しく、本店を東京都○○区△△に置くとすることもできます。
ですがこれはおすすめできません。
というのも、将来会社の規模が大きくなった場合などで本店を移転する必要が出てきた場合に△△の部分が変わると定款変更をする必要がでてきてしまうからです。
また、本店を東京都に置くとすることもできません。
④設立時に出資される財産の価額又はその最低額で注意する点は、資本金の額ではなく最低額を記載することになっています。
これはなぜでしょうか?
この書き方が重要になってくるのは、主に募集設立の場合です。
募集設立の場合は、応募者が予定通りに出資する額を出資してくれない場合があるので資本金の額ではなく、最低額としているのです。
出資される財産の額が設立準備過程で目減りする場合も考えられるからこのような規定になっています。
⑤発起人の氏名・名称および住所について注意すべき点は、発起人の名称となっているところです。
この規定から発起人は自然人ではなくてもいいということが導けます。
自然人でないとは、法人でも発起人になることができるということです。
もっとも、法人の中の人が実際には動いて設立に関与することになるのですが、表に出てくるのは法人名と法人の住所ということになります。
発行可能株式総数について(会社法37条)
発行可能株式総数は、会社成立の時までに定款に定めていればいいとされているので、定款認証時には記載の必要がないということで、絶対的記載事項には入れていません。
ちなみに会社の成立の時とは、本店所在地において設立の登記をした時を指します(会社法49条)。
会社法37条3項は、設立時発行株式総数の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができないとしています。
ただし、公開会社でない場合はこの限りではないとしています。
資本金の出資のときの注意点
資本金の出資の時の注意点としては、行政書士試験で出題されるかというとそうでもなく、実務に出たときに注意しておきたい点になると思います。
出資の注意点は、出資をする日が重要になります。
大体が発起人の銀行口座に出資金を振り込む方法になると思います。
定款作成日よりも前に振り込むと出資金としての振り込みと認められないことになるので、ちゅういがひつようです。
定款に出資する額が記載されていれば、定款作成日よりも後であれば出資は有効される取り扱いとなっています。
定款が作成されて初めて、出資金の額が決まるのでその決定がない以前に振り込むことはできないはずということです。
日付には注意していきましょう。
設立手続きについて
設立手続きについては、登記は司法書士の独占分野なので、司法書士さんに任せることになります。
ここ部分で行政書士が作成する文章としては、設立時役員の選任決議議事録等です。
発起設立では、定款に定めた人数の役員を発起人が選任することになります。
募集設立では、創立総会を開き株主が設立時役員を選任します(73条1項)。
募集設立については、詳しくは次の記事で扱っていきます。
注意点としては、ここで選任された設立時役員が活動を始めるのは、会社の登記が終わってからです。
設立中の会社の手続きは、発起人の仕事です。
株式会社の設立過程で出てくる会社側の登場人物
株式会社の設立の過程で出てくる会社側の登場人物は、『発起人』、『募集株式の引受人』、『設立時役員』、『検査役』です。
設立の状況により、出てくるものと出てこないものがあるのでしっかりと違いを押さえておきましょう。
『発起人』、『設立時役員』は必ず登場します。
『募集株式引き受け人』は募集設立のみ出てきます。
『検査役』は変態成立事項のある場合に出てきます。
発起設立
株式会社の設立には2種類あるのですが、はじめに、発起設立を解説していこと思います。
発起設立は、発起人が出資して株式会社を設立する場合です。
設立において一番は働く必要のある登場人物として発起人です。
設立時役員は、名ばかりで出てくる感じですね。
変態設立事項がある場合には、検査役も登場してきます。
発起人は、何をするのか?
発起人は何をするひとなのでしょうか?
発起人は、会社を設立するときの出資者であり、会社設立中の事務処理をする人です。
ここで重要なのは、出資者という部分です。
発起人は、必ず出資しなければならないので注意してください。
そして、会社の成立までの事務処理は発起人がすることになります。
会社の成立とは、先ほども書きましたが、会社の設立登記がされるまでのことを指します。
発起人の責任
発起人はどのような責任を負うのでしょうか?
責任を負う場合として、会社が成立した場合と会社が不成立であった場合の2パターンがあります。
会社が成立した場合
会社が成立した場合に負う責任としては、『対外的な責任』と『対内的な責任』をしっかりと区別する必要があります。
会社が成立すると、会社内部に対する責任として株主に対する責任が対内的な責任であり、他方取引先などの会社外の者に対する責任(第三者に対する責任)が対外的な責任として生じてきます。
対内的責任が、任務懈怠責任(会社法53条1項)です。
任務懈怠責任は、総株主の同意があれば免除することができます(会社法55条)
他方、対外的な責任は悪意又は重大な過失があった場合に負います(会社法53条2項)。
対外的な責任は、総株主の同意があっても免除することはできません。
この責任の免除する規定がない事と第三者に対する責任を総株主が決めることではないからです。
会社が成立しなかった場合
株式会社が成立しなかった場合は、発起人は連帯して、設立に関してした行為について責任を負い、支出した費用についても連帯して負担することになります(会社法56条)。
まとめ
株式会社の設立には、発起設立と募集設立の2種類ある。
会社の設立での場面は、①定款作成・認証、②資本金の出資、③設立手続きの3つの場面です。
それぞれの注意点を確認しておきましょう。
特に、定款作成時の絶対的記載事項の5つは覚えてください。
①目的、②商号、③本店所在地、④設立時に出資される財産の価額又はその最低額、⑤発起人の名前又は名称及び住所ですね。
発起人は、必ず出資しなければならないこともチェックしてください。
ここは発起設立よりも実は、募集設立でひっかけに問題として使われることが多いですが、まずは発起人は必ず出資しなければならないということを覚えておいてください。
少し長くなりましたが、今回はこのへんで終わります。